全く違う「ケータイ文化」を持つインド人と仕事をするには?
ものづくりは、柔道。 粘り勝ち、ひとり家電メーカーの「心を動かすものづくり」
◆「ほらね?」悔しさを奮起させて、人を動かす
私が中国工場で新しい製品をスタートさせる際、いつも最初に中国メンバーに伝えることがあります。
「チャイニーズ・クオリティは、ジャパニーズ・クオリティとは全く違う。まずは物に込めている『想い』を理解してほしい」
中国品質を馬鹿にしている訳ではないのですが、こう言うと必ず彼らは「なにくそ!」という思いになります。彼らには、世界の生産工場という自負があるので。手を抜いたものづくりをしたら、「ほらみたことか」と私なんかに言われると思うと悔しくて、彼らはがんばるんです。でも、やっぱり、100点には届かないこともあるし、失敗することもあります。
「あなたたちは、ジャパニーズ・クオリティとチャイニーズ・クオリティは変わらないって言ってたけど、ここだよ。ツメが甘かったでしょ?」「ほらね?」と。するとまた、中国メンバーも「なにくそ!」となって、がんばってリカバリーしてくれます。最初に布石を打って、「僕達はそんなんじゃない」と言わせることで、失敗したときに、言い訳させないようにしています。
これは、中国工場が憎くていっているわけではないですし、馬鹿にしているわけでもないのです。日本で開発していたとしても同じことをしていると思います。要するに、不具合を起こすと、UPQはもちろん困るけど、工場側もビジネスにならなくて困るんですよね。そこを減らすために、本当に中国のメンバーが失敗したときこそ、「ここだよ。言ったでしょ?」と、繰り返して言うようにしています。
また、大きな失敗があっても、3回までは許すようにしています。3回以上繰り返したら、本当におバカさんなのか、わざとやってるかのどちらか。基本的には、1回で見捨てないというのが大事だし、常に躍起にさせるために、3回は奮起させます。
中国の人達って、世界の生産工場という自負がある一方で、世界中の「下請け工場」だと思っている。技術はあるのに、デザインや企画までやると、超ダサくて、売れないと言うんです。自分たちでは完成品としての魅力を出すことができないと、あきらめているんです。「それではもったいない。やればできるし、面白い。」ということを、私は彼らにも伝えたい。
同じように、日本人は、自分たちのつくる製品の品質が、中国に劣るはずがないという自負がある。ただ、価格競争だけには勝てないとあきらめています。日本のメーカーに少しでも刺激を与えられたらいいな、と思い、私は今UPQでものづくりをしています。
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